賭けの結果
「騎士長閣下、ご無事のお戻りで何よりです」
「みんなも元気そうでよかった。ファレナを守ってくれてありがとうね」
旅立ちを見送ってくれた人々が、再び謁見の間に集まっていた。
国民にはほとんど知られぬまま、謀反の芽を押さえられたのは、彼らのおかげだ。
騎士長は、真実の感謝をこめて、集まってくれた人々に礼を言う。
挨拶が済んだのを見計らい、若き女王が兄を呼んだ。
「今日集まってもらったのは他でもない。結果報告じゃ」
「うん、学院の調査だよね。ちゃんと授業も受けてきたよ」
「本や調査書は、後からまとめて届くことになっております」
「違うちがーう!」
答えた二人に、ばしばし、と膝を叩いて女王陛下が喚く。
「賭けの結果じゃ!」
その言葉に、二人は首をひねる。
「「賭け?」」
横から、ミアキスがそっと女王に耳打ちした。
「女王陛下ぁ、お二人は賭けのこと知らないんですよぉ?」
「む、そうじゃったな」
こほん、と咳ばらいし、女王は言い直す。
「――で、この旅で少しは進展したのだろうな」
「進展??」
二人には、余計意味が分からない。
『賭け』に参加していた面々が、口元をひきつらせて、笑いをこらえている。
まったく状況が分かっていない二人に、女王がしびれを切らせた。
「えい、面倒じゃ。兄上、ぶっちゃけ、ベルクートとはどこまで行ったのじゃ? わらわの3000ポッチがかかっておるのじゃ、さっさと答えぬか!」
「まぁ、陛下ったら、ぶっちゃけなんて、下々の言葉をいつの間に覚えられたのかしら」
「うわぁ、リムスレーア様、なんて直球な……」
実に楽しそうなミアキスと、爆笑を必死でこらえているカイル。
「女王陛下ともあろう方が、なんと下世話な……」
ガレオンが、がっくりと肩を落とす。
残りの者たちが、興味深々、ニヤニヤしながら見守る中。
問い詰められた二人は、てっきり真っ赤になって慌てふためくだろうと思いきや。
「どこまでって……」
困ったように顔を見合わせから、声を揃えて答えた。
だよ?」
「「グリンヒルまで
ですが?」
謁見の間に、思いきり冷たい風が通り過ぎた。
しばらくして。
我に返った女王陛下が、びしっと叫んだ。
「ミアキス! この大ボケ共をフェイタス河に沈めてこい!」
「はぁーーい」
「なんでぇぇっ?」
賭けは、「進展なし」に賭けたラージャの一人勝ちだったようだ。
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ファレナは今日も平和です。
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