?黒エレ ←→ 白エレ?


Act.5:呪縛の円環

こちらは空を飛ぶ未確認飛行物体エンハンブレ。
カデンツァは天窓から、高いねぇ、などとのんびり下界を見下ろしている。
「ところでエレオス。ぼくをこっちに連れてきてどうする気だい?」
「そりゃ、あいつらが到着するまで暇だから。……いっただきま――」
ごん!
「お子様が見てるから却下」
鉄拳制裁が下された。
(((お子様ってアドニス様か。というか、いなかったらいいのか?)))
はた迷惑な乱入者と、さらわれても特に驚いていないもう一人に、ウンブラスたちはどこから突っ込めば良いのか分からない。
「???」
姿こそ成人だが、生まれてまだ三年のアドニスはきょとんとしている。
「それにしても貴方たちは、人間のままなのに何故タワーで平気なのですか?」
恐る恐る聞いたアンビシオンに、エレオスが自慢気に答える。
「俺が自分のついでに、こいつの分も音叉を鳴らしておいた」
(((アレは予約機能つきですか!)))
リングタワーの地上人立ち入り禁止機能で、彼を止められるかと思ったのだが、甘かった。
エンハンブレの飛び方で乗り物酔いを起こしたアドニスやウンブラス一派よりも、でんぐり返しに慣れている二人の方が、よほど元気である※。
地上であったら逮捕間違いナシの危険暴走運転をしていたのが誰かは、言うまでもない。

※乗り物酔いを起こす子は、でんぐり返しが苦手だと言われてます。
私の場合、でんぐりはできるのに、乗り物酔いひどいですが!

「キュ……キュー!」
エンハンブレに乗って以来、何か訴えるかのように足元にまとわりついていた小動物を、カデンツァが抱え上げた。
「このテイルは?」
「非常食」
「ああ、君はテイル料理好きだったよね」
「Σ◎o◎!?」

カデンツァの手から、硬直したテイルがぽてり、と床に落ちた。

***

一方その頃。
リングタワーをひたすらのぼっているのは第七隊員たち。
「隊長……もう無理ですぅ」
「ひ、膝が笑ってる……」
「だらしない、まだ35階、半分しか来ていないぞ」
「ここは神羅ビル(※)ですかい、隊長」

転移装置の存在に、彼らが気づくのはいつのことだろうか。

※神羅ビル FFVII(セフィロス登場)に出てくる70階建てのビル。
移動方法に階段を選ぶと、ひたすら上ることになる。


Act.6:ここよりはるか

空中都市で第七隊員たちを迎えたのは、都市監理システム、ヴィオラであった。
「クレモナへようこそ、ファルズフの皆さん」
「……ずいぶん話を省略したな」
「タワーはウンブラスとの闘いがないと、書くことがないですから。――アドニスから話は聞きました。アレーティアを迎えるために、私も協力は惜しみません。そろそろ、彼らも着く頃……」
クレモナに警戒警報が鳴り響き始めた。
「エンハンブレが防衛網を強行突破? これは一体……」
巨大なモニターに写し出されたのは、警報に反応して、雲霞(ウンカ)の群れのように出撃していく小型迎撃機。
エンハンブレは急ブレーキと急発進を繰り返し、器用にその隙間を潜り抜けている。
「こっちに来ます!」
「伏せろ!」
どう見てもわざととしか思えないぎりぎりの距離をかすめて、エンハンブレは浮遊大陸の方へと飛び去っていった。
「あ、あぶねぇ――やつら、加減てものを知らねぇのかよ」
「クレモナの迎撃機は全部撃墜されてしまったようですね」
その様子を見ていたアインザッツが、ぽつりと呟く。
「……あれは、彼だな」
ノーコンテュニュー ノーミスですべて撃墜するなど、並みの腕ではない。
「ええ、間違いありません」
グラナーダが、無表情ながら、誇らしげにうなずいた。

***

レースゲームのノリで防空網を突破したエレオスは上機嫌である。
「だ、誰ですか、彼に操縦任せたのは! 速度違反で警戒システムが反応しちゃったじゃないですか!」
「任せたんじゃありませんわ、乗っ取られたのですわ!」
「平和的解決が……話し合いが…… orz」
「早いよう、怖いよう((((;゜Д゜)))」
エンハンブレ中枢の片隅で、がたがた震えながら、アドニス一派は途方に暮れている。
「あはは、困りましたねぇ」
一仕事終えたカデンツァは、おつきあいで一緒に膝を抱えて座っている。
「あのう……もしかして、彼はあなたの言うことなら聞くのですか?」
「はい」
なんの迷いもなく、うなずくカデンツァ。
「その(猛獣使いの)才能を見込んでお願いがあります! これから大切な話し合いがあるのです! 彼がいると、まとまる話もまとまりません!!」
「……つまりエレオスを、ここから連れ出せ、と」
「「「お願いします〜!」」」
土下座する勢いで頼みこまれ、カデンツァは少し考えてから、はた迷惑な友人に声をかけた。
「エレオス、ちょっと出かけないかい?」
「え? これから地球外生命体が来るんだろ?」
エンハンブレを自動操縦に切り替えたエレオスは、今は武器の手入れに余念がない。
……退治する気、満々である。
「ザインって、自然豊かで綺麗じゃない。エレオスと二人っきりで散歩したいなぁ」
「――行く!」
放り出されたナイトメアが暴発し、弾丸がグードをかすめて気絶させた。
あっさりと姿を消した二人を、ハンカチを振って盛大に見送った後、アドニスとウンブラスたちは、大急ぎで通信装置に飛びついた。
「アレーティア様とヴィオラさんと第七中隊の方々に連絡を!」
「早く謝らなきゃなのです!」
「皆さん、ごめんなさい、ごめんなさい!」
「人間って怖い、怖いよう((((;゜Д゜)))」

――数時間後。
なんだかんだで、第七中隊はアレーティア側との話し合いに成功したのだった。

***

アレーティアの一件など忘れ果て、リゾート観光としゃれこんでいた二人は、地上から宇宙に還ってゆくソーマの光の流れを、花火代わりに眺めていた。
「綺麗だね」
「アレーティアは行っちまったか。面白くなりそうだったのに。――ところで、そろそろ腹が減っ……」
「キュ?」
エレオスとテイルの目があった。

「「…………」」

さらわれた後、一体何があったのか。
シルトクレーテに戻った後、カデンツァは黙して語らなかったという。



                            おわり。


おまけ:

新しく建設中の教主庁の扉の前には

「第一僧兵隊分隊長殿。もう帰ってこないでください」

と、教主の署名入りの告知が貼られていた。





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なんかもう、色々と……楽しかったです、ゴメンナサイ('∇')
リハビリ完了!







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