聖なる龍との死闘


バトル封神をやったこと無くて、「龍」ってどんなヤツ?って方は
これを見てからの読むことをお奨めします。

KOEIのポストカード (ナイショでよろしく)

半分くらい実話デス

「……なんだろう、この龍は」
「龍? これがー!?」
呟いた太公望に、那咤が叫ぶ。
驚くのも無理はない。
まん丸なボールに、目鼻がついて、飛び回っている謎の物体。
どう見ても、神と等しい存在とされる龍とは程遠い。
ふよーん、ふよーん。
独特な音を立てて、近くを飛び回るそれは、那咤の言葉に文句を言っているようだ。
自分でも、ちょっと自信を失いつつ、太公望はもう一度言う。
「一応、龍の「気」がするし」
「そら飛ぶクリオネだろ?」
うっとおしそうに、那咤が火尖鎗で叩き落す。
べしっと地面に叩きつけられた「龍」は、へろへろしながらも、まだついてくる。
結構根性ありそうだ。
「人面魚みてぇだな」
その言葉に、何故か太公望は鳥肌を立て、ついでに謎の「龍」が嫌いになった。

*

「久しぶりだな」
「うん、元気そうで安心した」
絶竜嶺での戦いの後。
再会した天化と少しだけ話をする機会を得た。
天化はすぐに都の警備に戻らないといけない。
太公望も、九竜派を追ってすぐに発たたなくてはならない。
ほんのつかの間の逢瀬。
「お前ときたら、全然都に近づかねぇんだから」
封神戦争以来、妲己の復活、受王の乱、そして今回。
何か起こった時にしか顔を見せない相手に、天化は不服そうだ。
「だって、旅の道士が、都の副司令にちょくちょく会いに行ったら、変に思われるじゃないか……」
「お前が、前の戦いでの功労者だってのは、誰でも知ってんだ。気にすることねぇんだよ」
ぐい、と手を掴まれた。
一瞬で抱きすくめられる。
「ダメだよ、子牙たちに気づかれる」
「構うもんか。一体どれだけお預け食らわせれば気が済むんだ」
「ダメだったら」
一応抗ってみるが、強引に引き寄せられると力が抜ける。
目を閉じるのが了承の印。
けれど、いつまで待っても、何もしてこない。
「――?」
「さっきから気になっているんだがな」
「え?」
「コレはなんだ?」
天化は太公望から手を離し、近くの茂みを指差した。
潅木の間から、じーーーーっと覗いている目。
その異様に大きなきらきらした眼には覚えがある。
「…………龍」
「龍? コレが!?」
天化は、茂みから丸いボール状の物体をつかみ出すなり、その頬(らしい)をびよんと引っ張り伸ばした。
顔が身体のほとんどを占めている「龍」は、ぐにょんと横に広がると、さらに不気味な造形になる。
「モグタンみてぇだな」(←世界初めて物語。知ってる人いるのか?)
しばらく天化は、「龍」をびよびよとひっぱって遊んでいたが、直に飽きたのか、放り出した。
「……なんか、変なモノ見たら、やる気が失せた」
「(ええっ!?)」
「この戦いのケリがついたら、都に寄れよ。――続きはまた、な」
耳元で囁かれて、どきりとする。
でも、本当にそれだけで天化がその場を去ってしまったことに落胆する。
期待しただけ、失望感は大きかった。
「この疫病神!!」
太公望は、傍らに浮いていた「龍」をしばき倒した。

**

ふいに現れた女道士の術で、目の前から雷震子たちが消えた。
「あいつら、どこ行っちまったんだ!?」
怒りにまかせて叫ぶ那咤に答えるように、初めて聞く声が言った。
「あなた方の仲間はさらわれて紂王の元に送られたのです」
声の主に、一同が驚く。
あの龍だった。
「あなた、しゃべれたの?」
麗蘭の素朴な疑問。
――違った意味で、太公望は驚きのあまり、その場から飛びのいていた。

  しゃべれる
    ↓
  コイツには天化といたのを見られてる
    ↓
  口止めしなきゃ
    ↓
  いっそ倒すか!?

とっさに思考がそこまで進み、打神鞭を掴んだのだが。
気配を察したのか、「龍」は手も術も届かないところまですっ飛んでいた。
「お願いです、龍玉を取り戻してください! あの玉は私の一部なんです!」
知るかそんなこと!
太公望の心の叫びは、幸い周りには聞こえなかった。
さらわれた仲間たちを見捨てるわけにもいかず、太公望は皆と共に再び封神台へ向かった。

***

泰山での戦いを経て、ここは受王のいる異界。
よどんだ空気が辺りに充ちている。
「受王を倒してください! あなたしかいないんです!」
やらないといけないとは分かっていても、この「龍」の言いなりになるのはなんか悔しい。
答えないのが、ささやかな抵抗。
だが。
「あの人とのこと、バラしますよ。内緒なんでしょ?」
「分かりましたっ! 受王のもとに行きましょう!!(涙)」
こんなヤツに、こんなヤツにーーーっ。
太公望のやり場のない怒りは、受王に向けられた。

……受王が、こんなウラ取引の犠牲になったことはヒミツである。

****

受王を倒し、龍玉を取り戻した太公望たちは、龍を見送った。
闇夜に、飛んでいく丸っこい龍。
龍玉を取り戻したのに、元の姿に戻れないのか。
それともあれが、本体だったのか。
聞き損ねてしまった。
今更聞きたくもないが。
「お元気でー!(二度と来るなー!!)」
やれやれ、ようやく追い払えた。
太公望の本心は、誰も知らない。
心底ほっとしている太公望に、那咤が尋ねる。
「子牙たちは帰っちまうようだけど、太公望はどうするんだ?」
「そうだな。せっかく戻ってきたのだから、しばらく修行することにしたよ」
「わあい、太公望ちゃんといっぱい遊べるのだ!」
大喜びの雷震子。
……何か大切なことを忘れているような気がするのだが。
思い出せない。
(ま、いいか)
さっさとあきらめ、太公望は雷震子に手を引かれて野原に向かった。

太公望が雷震子と遊んでいる頃。
「ちくしょう、全然来ないじゃねぇか」
忘れられた人が一名、都で悶々としていた。

END

「追い払ってもついてきてしまって」
困ったように、首をすくめて両手を広げる太公望。

これは本当に、ばっちりムービーにあります。
あの太公望が「追い払う」だなんて。
よっぽど嫌ってるなと大笑いした場面です。

そういや、「聖龍」って人面魚みたい……。
はっ、忘れてたけど、うちの「人面魚」って本当は龍じゃん!(本気で忘れてた(笑)
もしかして親戚!?(んな馬鹿な)
なんて思ってしまったキャラクターでした。
それにしても、龍には見えませんよ、コイツ。


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