選ぶべき道
すべてが終わった時、どちらの世界に残るかを決めておくようにと、元始天尊は言った。
タオの源は、術力の源でもある。
消失すれば、仙界と人界が分断される。
それは、両界を行き来できなくなるということ。
大仙レベルの者なら移動できるのだろうが、修行中の道士の身では、恐らくそれは望めない。
つまり……別の世界を選べば、二度と会えないことを意味する。
しかし、今の受王を止める方法は他にない。
「子牙、タオの源を封神しよう」
驚くほどきっぱりと、太公望が言った。
彼は、タオを操る術は持たないが、存在するものを別世界に封印する技を知っている。
ためらったのは、かえって子牙の方だった。
ここにいる仲間たちは、ほとんどが道士。
恐らく仙界に残るのだろう。
タオの源の封神は、彼らとの別れである。
けれど、力を求める受王に渡すわけにはいかない。
「よし……行こう!」
目指すは……泰山。
*
タオの源があるという泰山。
入り組んだ山道の途中で、しばしの休憩を取る。
仲間たちの目を避けて、ようやく天化は太公望を捕まえた。
「お前……どっちに残るつもりだ?」
その才能を見込まれて元始天尊の下で修行を続ける太公望。
普通に考えれば、当然仙界を選ぶだろう。
だが。
仙界と人界。
分断される世界。
「天化はどちらを選ぶ? 僕と……人界と」
「――っ!」
残酷な問いに、天化は絶句する。
いずれ仙道の修行に戻るつもりではあったが、それは今ではない。
三年前の紂王、妲己の圧政に続き、今度の受王率いる九竜派の蛮行で、人界は荒れ果てている。
戦いが終われば、父と共に都の再建を目指すことになるだろう。
しかし、人界を選べば――もう二度と会えない。
「俺は……」
答えは決まっていた。
**
肩を掴んでいた手が離れた。
自分でも、ひどいことを言っていると分かっていた。
けれど、天化が何と答えるのか、聞いてみたかった。
「俺は……人界に残る。このまま放り出していくことはできねぇ」
苦渋に満ちた返答に、太公望は微笑んだ。
「そうか――良かった」
「!?」
「僕も人界に残るよ。修行はこちらでもできるし、僕も何か力になれると思うから」
あっさり言うと、天化はしばらくの間呆然とし……喚いた。
「てめ……俺を試しやがったな!?」
「なんのことだい? 僕は仙界と人界、どっちを選ぶかなんて聞いてないよ?」
「〜〜〜っ、この性悪!」
本当は答えはどちらでも良かったのだ。
天化が人界を選べば、自分よりも民を優先してくれたことが嬉しい。
もし逆でも、この状況をすべて投げ打っても自分を選んでくれたことが嬉しい。
我ながら勝手な心理だ。
――離れるつもりがないのは自分の方。
かんかんに怒って仲間たちのところに戻っていくのを、笑いを噛み殺しながら追いかける。
選ぶ権利があるのは幸せなこと。
他の誰に反対されても。
自分が望む道に進んで、何を後悔することがあるだろう。
――願わくば、目指す世界を君と共に。
END
封神2、結構ラスト近くです。
あんまり太公望さんが、気合を入れて「タオを封じよう!」と言うので、
本気!? 天化さんと会えなくなっちゃうよ!?
と大焦りしました。
そして、エンディング。
なんのことはない。けろっとして、
「僕は人界に残るよ」
もちろんその隣には天化さん。(いや、嬋玉主体だけど)
しかしこの後、天化さんは子牙と世界作っちゃって。
太公望さん、にこにこしながら見守ってたけど、この後しばき入ってると思われます。
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封神演義2&バトル封神編