哀愁の崩雪嶺
時が来たようだ。
――遥か昔。
封神大戦と呼ばれた人界での戦いの際、命を落とした私は、本来であれば神界へゆく定めであった。
だが、私は人界に残ることを選んだ。
神として天上からではなく、人間としてこの人界の様を見ていたかったのだ。
兜、鎧、腕輪、私に属する物を資格のある者だけが手に入れるように人界の各所に配置した。
私の力を必要とする者が、すべてを揃え、この崩雪嶺に辿りついた時、私が目覚めるように。
あれから一体何年の月日が過ぎたのか。
再び私が目覚めるだけのことが、人界に起こったのだろう。
気がついた時、私自身の魂を封じた玉は、一人の少年の手にあった。
不思議な集団。
人間の少年がリーダーであるようだが、その仲間はすべて妖怪だ。
民に害を成すはずの妖怪変化……だが、彼らは人間側に好意的で、その力をもって人々を守っているようである。
火、土、木、水、金、五行がすべて揃っていることにも驚いたが、さらには彼らをまとめている少年が持つ錫杖。
その中にはさらに強い五行の気が宿っている。
それは天界の気配。
恐らくは、天界の神将たちであろう。
何かが起こっている。
天界までも巻き込んだ異変が……。
叩きつけるような吹雪の中、私は初めて彼らの前に姿を現した。
ここへ辿りついただけでも、彼らの力量やその覚悟が窺い知れる。
だが、まだ足りない。
この私の力を託すだけの器量があるか……
最後の試練を受けてもらうことにする。
崩雪嶺の精霊を呼出し、彼らと対峙させる。
私の配下となっている者たちだ。
並の人間などは相手にもならない。
だが、これから巨大な敵に立ち向かう者ならば。
この私の力を振るうことになる者であるならば。
――その力、見させてもらおう。
* * *
「貴方は一体……」
「九天雷帝――」
私の下僕たちに勝利した少年と妖怪たち。
もうためらう必要はあるまい。
「そなたたちの実力、見させてもらった。――この私の力、思う存分人界のために用いるがよい」
だが、当惑気に少年が手を挙げた。
「あ、あの、雷公様、何か誤解があるようなのですが」
「誤解?」
「ええ、僕たちはここへ……」
しばらく迷った後、彼ははっきりと言った。
「
かき氷用の雪を取り来たんです」
「……」
「……」
「……かき氷?」
「はい」
冷たい風が吹きぬけてゆく。
「――邪魔をしたな」
その後、雷を操る神将を呼び戻すには、神将たちの必死の説得が必要だったらしい……。
END
雷公様、背中で泣いてます。
崩雪嶺でのイベントは、デーヴァとの対戦、雷公様との対決の他に、バイトとしてかき氷の雪集め……。
すいません、雷公様。
かき氷の方がインパクト強かったんですよ。
――錫杖の中では、神将たちが笑い死にしそうになっていたり。
必死に説得してたのは、楊センさん、竜吉さん、雲霄さん。
天化と那咤は、顔見ただけで笑っちゃって、余計にこじれされちゃったり。
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