子供の智慧
「らいちゃんねぇ、しがと、かいどーちゃん、だいすきなのだ」
「おお、そうですか! なかなか見る目がありますね」
「雷震子に言われると心なごむなぁ」
「なたちゃんもだいすきなのだ」
「ま、悪い気はしねえな、ありがとよ」
雷震子は、誰にでも「大好き」を連発して、ともすれば殺伐となる道行きを和ませている。
あの那咤でさえ、素直な笑顔で言われると機嫌が良くなっている。
そんな平和な雰囲気の中、内心穏やかならない者が二人。
「まだ……言われてないよね」
「言われてないな……」
太公望と天化である。
何故か、二人だけ言われていないのだ。
忘れているだけだとは思うのだが。
「よし」
ぐっと拳を握って、太公望が言った。
「らいちゃんに、どちらが先に好きだと言ってもらえるか、勝負だ!」
「しょ、勝負!?」
宣戦布告されてしまった。
くだらないとは思いつつも、勝負と言われたら、受けないわけにはいかない。
……その日から、大人げない大人による、お子様懐柔作戦が始まった。
***
「らいちゃん! 街でお菓子買ってきたよ〜」
「雷震子、山でグミが生ってたぜ」
「らいちゃんの起風発雷って、格好いいよね」
「雷震子、見てろよ、朱雀だ朱雀!」
最初は素直に喜んでいた雷震子だったが、次第にむむう、と難しい顔になってしまった。
ぷくぅとふくれて、二人を睨む。
「おにいちゃんたち、なんかへんなのだ。らいちゃんをはさんでけんかしてるのだ」
子供は、子供なりに鋭い。
「おししょうさまがいってたのだ。おともだちとはなかよくしなさいって。だから、らいちゃん、いまのおにいちゃんたちのこと、きらいなのだっ!」
ヤブヘビ。
心当たりがありすぎるだけに、きまりの悪い大人二人。
ちら、と見交わして「停戦」を締結する。
「らいちゃん、ごめん。ケンカしてたわけじゃないんだよ」
「心配させて悪かったな」
しばらくしてから、仲直りしたと判断したのか、ようやく雷震子が笑顔を見せた。
二人の腕を両手に抱えて、ご満悦。
「らいちゃんねぇ……」
きたっ!
競争は止めたとは言っても、やはり気になるものは気になる。
どちらが先に言われるか!?
「みーんなのこと、だいすきなのだ!」
……一気に対象を広げられてしまった。
雷震子なりの「おしおき」だったのだと、反省している大人が二名ほどいたらしい。
おわり
楊セン「あれですね。あの二人は……自分の子供に、パパとママどっちが好き? と解答を迫って、困惑させた挙句に泣かせてしまうバカ親」
子牙 「親バカじゃなくて?」
楊セン「バカ親でしょう。要領のいい子供は「どっちも大好き」で逃げるわけです」
子牙 「子供の方が頭いいな」
封神2には、キャラ毎にフィールド効果、というものがあるのです。
雷震子は、皆に「大好き」といいまくり、友好度を上げるというもの。
子牙との友好度が低いうちには対象は子牙だけ。
あがってくると、他に一人。
最高度になると、全員が対象になるのです。
気が付いたら最高度になっていて、太公望と天化へのセリフを見損ねてしまった〜。
というわけで思いついた話でした。
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封神演義2&バトル封神篇