喧嘩の理由
「その敵にとどめを!」
「おう、任せ……」
双刀を構えた子牙の前で、ムレスズメが焼き鳥になった。
崖の上に姿を見せた天化に、太公望がむっとして言った。
「……今のは子牙に頼んだんだ」
「目の前の敵を倒して何が悪い」
「随分離れてたような気がするけど?」
「うるせえ、たまたま目に入ったんだよ!」
ぎゃいぎゃいと喚き合う二人から、子牙はそっと離れる。
あの穏やかでにこやかなイメージだった太公望が、合流してからは、不機嫌な顔を見ることが多くなった気がする。
しかも、約一名の前でだけ。
様子を眺めていた楊センに尋ねてみた。
「なぁ、楊セン。あの二人って仲悪いのか?」
「犬も食わないというやつですよ。放っておきなさい」
やれやれ、と楊センは苦笑し、さっさと背を向けた。
その言葉を、子牙は反芻する。
犬も食わない……
犬も……
犬も食わないほど、
仲 が 悪 いのか!
念のため、他の者にも聞いてみる。
まずは、天化の父親。
「黄飛虎、あの二人って……」
「まったくあやつは、元とは言え大将殿を怒鳴るなど心得違いも甚だしい!」
次に天化の幼馴染。
「嬋玉、あの二人って……」
「全然変わってないわね。天化のやつ、太公望さんのこと苛めてばっかり!」
太公望は天化に苛められてたのかっ。
……その日から、色々と間違った理解をした子牙の努力が始まった。
***
「本調子でないなら引っ込んでろ!」
「病人扱いしないでくれ、もう大丈夫だ!」
「どこが大丈夫なんだよ、さっきも……」
「太公望、教えて欲しいことがあるんだ!!」
突然割り込んできた子牙が、太公望の腕を取り、ぴゅ〜っとばかりに駆け去ってしまった。
怒鳴る対象を失って、ぽつんと取り残される剣士一名。
数時間後。
「敵に一人で突っ込んでいくなと何度言ったら!」
「あの程度の雑魚、相手になんねえんだよ!」
「そうやって敵を侮るからまた怪我を……」
「天化! 宝貝の使い方教えてくれっ!!」
またもや割り込んできた子牙が、天化の腕をひっつかんで走り去っていく。
取り残されて、言葉を失う軍師一名。
後ろで、状況を察した楊センが笑いをかみ殺していた。
そんなのことが繰り返されて、数日後。
根負けしたのは太公望の方だった。
「子牙。今日は天化を借りてくね」
あれ?
という顔の子牙を残し、太公望は天化を引きずって、買い物に出かけたようだった。
***
「……ったく、子牙の奴、余計な気を回しやがって」
「……」
「怒るなよ、あいつなりに気を使ったんだろうから」
「怒ってなんかいないよ。子牙は僕のためにしてくれてたんだ。誰かさんより、ずーっと思いやりあるよね」
「どうしてそう、俺にだけつっかかるんだ」
だから子牙に誤解されるのだろう。
その言葉に、どうしてかな、と考える。
「……反応が面白くて、つい」
「おもちゃか、俺は」
声が聞けること。
返事が返ってくること。
異界に飛ばされ、もう二度と会えないかと思った。
こんなやりとりが、またできることが嬉しくて、つい。
「で、今日は何買うんだって?」
「防具の補充……あと、雷ちゃんに点心とか」
「女共の分もな。後でうるさいから」
「天化ってなんだかんだ言っても、嬋玉のこと忘れないよね」
「あれを忘れられる人間がいるなら会ってみたいよ、俺は」
「あはは」
周りに仲間たちがいる場所では、視線を独り占めする手っ取り早い手段が、他愛ない口喧嘩だっただけ。
本人たちにその自覚はないとしても。
既に手に入れていれば、声を荒げる必要もない。
人並みはずれた容姿で悪目立ちしてはいたが、道術交じりの喧嘩で人を驚かせることもなく、二人は辺境の町の市場をひやかして回っていた。
***
留守中、楊センは子牙を呼び止めた。
「子牙君、あの二人は仲が悪いわけではありませんよ。昔は確かに天化殿がつっかかっていたことがありましたが、今はむしろ……」
子牙が、ぽんと手を打った。
「太公望が天化を苛めてるのか!」
そういえば、最終的にやりこめられているのは、いつだって天化だ。
それならあんまり心配いらないな。天化は打たれ強そうだから。(←ひどい)
納得して満足したらしい子牙に、楊センは、説明をあきらめた。
子牙が『喧嘩するほど』という言葉のあやを理解するのは、果てしなく遠い道のりのようだ。
終わり
封神2、二回目プレイ中。
ようやく太公望さんが仲間になりました。
つぶやきを集めつつ、のんびり進んでいたので平均レベル40。
太公望さん34……。
まさに病み上がり。
でも、戦闘に参加すると、威勢良く犬やらパンダやらをふっ飛ばしてくれます。(天化より派手に飛ばしてるよ?)
太公望との友好度を上げようと、うろうろしている間の編成は、
太公望、天化、楊セン、聞仲。
たまたま歩行タイプと浮遊タイプだったため、戦闘となると太公望と天化が仲良く走って行きます。
そんな中、面白かったのが、今回の冒頭。
太公望が「攻撃・とどめお願い」をしてくると、大抵隣にいる天化がかなえてしまう。
ただでさえ回数が少ないのに、そんなに「お願い」譲るのが嫌か、君は?
あと、近くの雑魚敵から片付けていくはずの天化と楊センが、太公望が一人取り囲まれた状態から始まる場合、そちらに駆けつけていったりして。
(聞仲さんは、いつも通りまわりの敵を相手にしてた)
助けに行く天化・楊センを面白がるべきか、逃げずに戦ってる太公望を面白がるべきか。
むしろ、敵中に取り残された子牙を笑うべきか。
どちらにしろ、オートキャラって見てて面白い。
最近は、戦闘から離脱して、仲間たちの戦いっぷりを眺めている子牙君であります。
おわり
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