麒麟の章 ―子牙―


「白唱ーーっ!」
さっきの場所に、白唱はいなかった。
どこに行ったんだろう、ヘビに噛まれたってのに。
まさかどこかで倒れてるんじゃ……。
「白唱ーーっ!」
もう一度叫ぶと、少し離れたところから返事があった。
「ここだよ、子牙」
「ああああ、良かった、生きてるな?」
小川の近くに白唱はいた。
足首には白い布を巻き、きちんと手当てしてあるように見える。
困ったように白唱が説明してくれた。
あれはクサリヘビではなかったこと。
毒はそんなに危ないものではないということ。
よ、よかった……。
俺が持っているキノコを見て、白唱が笑った。
やればできるじゃないか、と。
おう、がんばっただろ?
「何も起こらなかったら、ここでキノコナベにしような」
白唱が大丈夫だと分かったら、急に腹が減ってきた。
キノコ探して、随分走り回ったもんな。
ぽいぽいぽいとキノコをナベに放り込む。
最後の霊芝を入れた時だった。
ここに来たときと同じように、足元がふわりとなくなった気がした。


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