四神伝 ―天化―6


「順番的には西の白虎だな」
俺が火属性の上に、炎の朱雀がこちらにいるんだから、属性的には有利だ。
「だが、お前行けるのか?」
さっきの戦いで、魄と共に玄武の雨を受けた。
朱雀の炎を打ち消すためにかなりの力を使っているはずだ。
すぐに白虎に臨むのは難しいのでは……。
「それは問題ない。今度は我は戦わぬ」
「げ、俺一人でやれってのかよ」
「そういうわけではない。今回、我が朱雀を抑え、実際に封じるには黒亀の爺様の甲羅を使ったであろう。白虎に対しても同じことをすればよいのだ」
「チビ白虎と朱雀に属する何か、か。……まずは西で分裂した白虎の魂を見つけろってか? それはともかく、俺は朱雀に関わるアイテムなんか……」
持っている。
いや、持っていた。
太公望に、嬋玉たちが渡した朱雀の羽だ。
ミニ朱雀を見つけるきっかけになった、あの羽。
「我の羽を持っていたであろう。あれは、まだ我が一体であるうちに、力を封じていたものだ。黒亀の爺様の甲羅と同じく、白虎に対抗できるだけの力を持っておる」
あれは今どこにあったか?
風で飛ばされて追いかけて、それから……
思い出した。
太公望が、燃え出さないように術をかけて、懐にしまいこんでいた。
……西に様子を見に行くにしろ、一度玄武のところへ戻った方がいいか。
「で、この朱雀はどうするんだ?」
綺麗な赤い鳥となっている朱雀の魄は、まだ昏々と眠ったまま、足元に落ちている。
このまま放置するわけにもいくまい。
「水の力で封じ込まれたからな、当分はおとなしくしているであろう。この状態なら、麒にも見つからぬだろうから、木のうろにでも置いておけばよい」
うろのある大きな木はいくつか生えていた。
湖に近い大木から、雨の当たらない木のうろを探し、目が覚めた時に、湖の全景が見える位置においてやる。
「お気に入りの湖なんだろ」
「……おぬし、結構いい人間だな」
「誉めても何も出ないぜ?」
お互い見交わして、ニヤリとする。
まぁ、たまにはこんな相棒もいいかもしれない。
ホントにたまーに、だけどな。



四神伝 ―天化―7



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