四神伝 ―天化―5


天の鏡ってのは太陽のことだろう。
対する、水の鏡とは……朱雀の支配するこの丸い湖!
太陽の光を反射させて、水面に向けると、たちまち大量の水蒸気がわきあがった。
それは雲のような状態になって朱雀たちの上に留まった。
降り始める大粒の雨。
二羽の巨鳥が、水を受けて苦しげに暴れている。
翼や尾から飛び散った炎も、たちまち雨に打たれて消えていく。
大地に落ちた朱雀たちは、やがて動かなくなった。
そして、封じられた霊気に対応するかのように、その姿は少しずつ縮み、両方ともミニ朱雀と同じサイズになってしまった。
見かけの大きさは外に放出する霊気に対応しているのか。
それにしても、魄の朱雀は小さくなっても元の神々しい霊鳥のままの姿なのに、魂であるミニ朱雀の方は、どうしてこうマヌケな姿なんだ?
「おい、生きてるか?」
「……我が守っていた湖の水を使うとは……黒亀の爺様のいけず……」
「大丈夫みたいだな」
「むきーっ! 魄にだけ向けるとか、何か方法がなかったんかい! 我まで巻き込みおって!」
「仕方ないだろ、接近戦に入ってたし、雲の位置は俺が調整したわけじゃねぇ」
「うぬぬ……まぁ、仕方がない。無事に魄を捕らえることもできたし、良しとしよう」
「本体のお前、なかなか格好よかったぜ」
「ふんっ、今更誉めても何も出ぬぞ」
ふてくされながらも、少し嬉しそうだ。
魄が完全に非人間的で無感情な存在である分、分離した魂は人間が望む、友好的で温かみのある存在になったのだろうか。
「これで、玄武と朱雀はひとまず解決か」
「まだ安心するのは早いぞ。何も封じられていないからこそ、拮抗を保っている西の白虎と東の青龍、そして麟のためなら手段を選ばなくなっている麒がいるのだからの。さて、次にどこに行くか分かっているであろうな」



《選択》

   東の青龍

   西の白虎

   中央の麒麟



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